コウダイ企画室。と株式会社新潟家守舎代表の小林紘大です。「楽しい暮らしはみんなでつくる」をテーマに、賃貸住宅のコミュニティマネージャーとして活動し、2021年で5年目を迎えました!
私が活動をはじめたきっかけの一つは、「賃貸住宅のオーナーにも入居者にも、その物件に愛着を持って欲しい」という思いがあったためです。なぜそんな思いを持ったかというと、多くの不動産は投資目的のために建築され、オーナー自身が愛着を持っていないように感じてきたためです。またそういった不動産、賃貸物件の入居者は「仮の住まいだからこの程度だろう」と愛着を持てずにいる方もいるように思います。
物件に愛着を持てないのはなぜでしょうか?その理由のひとつが、「物件選びで重視するポイントの偏り」にあると、私は思っています。
ある調査によると、賃貸住宅選びで重視するポイントは 「家賃・価格」 「間取り」 「最寄駅からの距離」「面積・広さ」などでした。
(参考:引越し先の物件選びで重視するポイントランキング)
そのため多くの賃貸住宅では、上にあげたような数字で表しやすいポイントに対して対策やサービスを展開されているようです。その結果として「数字で表しづらい暮らしの品質」が軽視され、愛着が持てるような良質な賃貸住宅が選ばれにくい状況ができているように思います。
このような賃貸住宅を取り巻く状況を変えていきたいと思い、「良質な賃貸住宅での暮らし」を伝えていく活動をはじめたのですが…活動を始めて5年目の今年、新潟大学前の賃貸住宅「New High Bridge」様の入居率改善の企画を提案をし、発注いただくことになりました!
入居率改善の際によく検討される項目としては次のようなものがあります。
これらの項目に注力するのも悪くはありませんが、今回は物件オーナー様から思いやご予算をヒアリングした上で、次の3つを実施することにしました。
3つに共通するのは、オーナー様と入居者の方が物件に愛着を持てる仕掛けをつくるという点です。この後、それぞれについてご説明していきます。
賃貸物件のロゴマーク?アイコン?と疑問を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、ロゴマークやアイコンは物件の個性を伝える効果的な手法なんです!ロゴの存在意義についてはこちらの記事をお読みいただけるとよくわかりますが、「ロゴを導入する、新しくする目的」をよく考えてロゴに込める要素を整理していくことが大切です。
今回は次のような要素をロゴマークに盛り込むことにしました。
上記の要素からできたロゴマークがこちらです。
こちらのロゴマークで物件入り口の看板も制作しました。以前のロゴマークと比較すると違いがよくわかります。
<Before>
<After>
新しいロゴマークによって、物件の印象が変化したことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
さらに、入居した方に「いつか阿賀町へ行こう」と思っていただけるように、阿賀町の風景のかけらを共通部に置くことを検討し、阿賀町を伝えるシンボルマークを入り口に設置することにしました。まず行ったのは「阿賀町の風景」のピックアップ。次のような写真を選定しました。
そこからデザイナーのueno さんに相談し、阿賀町の風景を抽象化して4つのアイコンにしてもらいました。それらのアイコンをオリジナルのアートとして展開し竣工したのがこちらです。
入居者の目に触れやすいように、入り口2箇所に設置しました。
ロゴマーク、アイコンによって物件の個性、オーナー様の思いを目に見える形で伝えられるようになったのではないかと思います!
共有部のリノベーション工事は2回に分け、第1期はドア・窓・階段といった「点と線」の工事を、第2期は天井・壁など「面」の工事を行うことにしました。
<ドア枠の塗装>
ドア全体を薄いグレーに、ドア枠をブラックに塗装し、部屋番号のサインをリニューアルしました。
サインについては、大きめのマル文字としてデザイン。グレー、赤、黄、緑の組み合わせにより、4つの色パターンをつくりました。
<窓の塗装>
工事は費用対効果を考え、窓枠部分を塗装し、空間の印象を変えることにしました。ドア枠と同じブラックに塗装したことで、統一感が出ました。
細かいところですが、給湯器の背面もブラックに塗装しています。
<階段の塗装>
日本海側を向いた階段は潮風の影響で錆びていました。2階にあがることが楽しくなるような明るい雰囲気を目指し、階段全体をグレーに塗装しました。
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上記のリノベーション工事に加えて、NEW High Bridge入居者に向けた、リーフレットの制作も実施しました。工事後に2部屋の入居申し込みがあり、今回の入居率改善提案の成果が出てきています!まだ空室もありますので、入居のための見学・内覧などを検討される方は私、小林紘大までお問い合わせいただければと思います!
文/小林紘大 構成/ヤマシタナツミ